欲望チェリ-止まらない心
「それにお前には聖が居るじゃん。アイツすげ―お前のこと好きだよ。お前もっと自信持てよな」


あたしの気持ちを知らない紅は、のんきに笑う。




ズキ…ン


そんな紅に胸が痛む。


違うよ……


あたしが恋してるのは目の前にいるあなた。


ひ―君じゃない。


紅なんだよ――…








「そういや聖は?」


「あ…ひー君は今日は都合が悪いみたいで…」


夏休みに部活を引退したひー君だけど今日は用事があるらしい。


「ふ―ん」


紅はチラリとあたしの前にある資料を見る。



「聖ってさ…お前が思ってるより弱いよアイツは」


「え……」


「だからさ、たまには気にかけてやれよ」


そう言うと紅は資料を自分のカバンにしまった。


「え?あのっ…それ」


「これくらい俺がしとく」


そして紅は生徒会室を出て行ってしまった。







遠ざかる足音を聞きながら―…




言われなくても…

ひー君のことは見ようとしてるんだよ。




だけど――…




「それが出来ないから…困ってるんじゃん」


ポツンと取り残された生徒会室であたしは呟く。




あたしの心にはもう…

あなたが居てしまっているから――…

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