欲望チェリ-止まらない心
議論の終わりに


ひー君は資料をまとめながら言った。



「この生徒会メンバーも文化祭で最後の仕事になるよね」


「!」


あたしは手を止めてひー君を見る。


「10月には総選挙、で11月には新しい生徒会が発足します」


そっかぁ…


あたしは少し寂しい気持ちになる。


チラっと紅を見ると、紅はまっすぐにひー君を見ていた。



「あと少しだけど頑張ろうね。じゃあ今日は解散」


ひー君の言葉にメンバーは帰り支度をする。



ちら…


あたしはまた紅を見た。


しかし紅は会計の灘君と話をしていて…


そのまま灘君と帰って行った。


「…………」


ショックに心が沈む。


苦しい…


紅と今日は一言も会話できなかった。


目も合わせられなかった。


たったそれだけの事だけど…、胸が切なくて苦しいよ。


紅はあたしなんかと話さなくても平気なんだって思い知らされる。


あたしは挨拶するかしないかだけでも、迷ってグルグル空回りしてしまうのに…






「三咲、帰ろうか」


「あ!うん…」


あたしは慌てて笑顔を作ると、ひー君と並んで帰った。


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