欲望チェリ-止まらない心
体育館に行くと、すでにすごいギャラリーがいた。
2階の観客スペースはもう隙間がない。
それでも溢れた観客は
開けられた数ヶ所の体育館ドアの外から中を覗くしかなかった。
「うげ~なにこのギャラリーの数!」
優子ちゃんが舌を出す。
「もう外から覗くしかないかなぁ」
あたし達は諦めぎみに辺りを見渡していた。
その時
「あれ?三咲ちゃん」
生徒会 書記の優花先輩があたしを見付けてくれた。
「優花先輩!」
「あらら?外から藤ヶ崎くんの応援?」
「あ…はい。凄いギャラリーで…来るのが遅かったみたいです」
あたしの言葉に優花先輩は頷く。
「今から決勝戦だからね。藤ヶ崎くんが出るし仕方ないよ」
「!」
やっぱりひー君勝ってたんだ!
ギャラリーの数が、ここまでのひー君の活躍を物語っているようだった。