欲望チェリ-止まらない心
点差では負けてるが…


53点中30得点を入れたのは紅だった。


2人のディフェンスを抜いてからの紅のレイアップシュート。


そこからファールをもらい、フリースローを確実に決める紅は


チームのキャプテンの名に相応しかった。



いつもは無口な紅が試合に熱くなり、チームの皆を励ます姿を見て…




カッコいい…

カッコよすぎて…



あたしはすごく心配になった。


紅の良さを知った女の子が、
紅を好きになるんじゃないか?


なんて、考えたり…


いつかのひー君の言葉を思い出す。


『紅はモテるよ』




不安は見事的中して周りの女子が囁きだす。


「矢嶋くんってさ、なんか一人目立ってたよね!」


「うんうん!藤ヶ崎くんに立ち向かう姿とかさ、超カッコ良かった~!」


そんな女の子の会話を聞くと、胸が苦しくなった。


優子ちゃんや亜季ちゃんも瞳をキラキラさせて紅を見てる。




友達にまで嫉妬するなんて…


ひー君の時はそれが当たり前で何も思わなかったのに


あたしってこんなに独占欲が強かったんだ…



紅を知っているのが…

あたしだけでいて欲しい。




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