欲望チェリ-止まらない心
しかし
―――バシッ!
シュートを構えた紅を、ひー君が激しくブロックする。
「!」
その瞬間
そのボールが運悪く紅の目にぶつかり、紅は激しく後ろに倒れてしまった。
「き…きゃああああああっ!!!!!」
会場は一気に悲鳴の嵐。
ピピ―――――――ッ!!
残り15秒……
審判がホイッスルを吹き、試合を中断。
紅のチームが倒れた紅に駆け寄っていく。
「悪い紅…っ!」
ひー君も心配そうに膝まずき、紅を覗き込んでいる。
しかし
後頭部から倒れ横たわったままピクリとも動かない紅…
「…紅……紅…!!」
あたしは紅の名前を呼び続けた。
紅…やだ…
しっかりして……!!
紅……!!!
あたしの願が通じたのか
紅は意識を取り戻し、ゆっくりと起き上った。
「っ…」
紅は頭を押さえてうずくまる。
「誰か矢嶌を保健室に…!」
「あ、はい!あたしが行きます!!」
先生の声に
一人の女の子が挙手して紅の所に駆け寄っていく。
え…そんな……!
その女の子は、さっき紅のことをカッコ良いと言っていた女の子だった……
そんなのやだよ。
待って、あたしが…
なんて言えるはずなかった。
だって目の前には、あたしの彼氏。
そして紅の親友の藤ヶ崎聖が居たんだから―――。