欲望チェリ-止まらない心
ガラガラ…





保健室に行くと騒がしい体育館が嘘のように静かだった。







「あら、どうしたの?」


白衣の保険医がイスをくるりとこちらに向ける。


「あ、あの…矢嶌先輩は…」


あたしはドキドキ震える足で、保健室内をキョロキョロする。


保健室には保険医の先生以外誰も居ない…。


「あぁ、矢嶌くんならカーテンの向こうで寝てるわよ」


先生は白いカーテンを見ると、クスッと笑った。


「よっぽどハードな試合だったのかしら?矢嶌くん子供みたいにあっという間に寝ちゃったわ」


「そ、そうですか…」


紅すごく頑張ってたもんね。


「あの、矢嶌先輩のケガは大丈夫なんですか?」


「多分、軽い脳しんとうかな。一応このあと病院に行かせるけど…今、送迎できる先生が居なくてね」


「そうですか」


良かった…


あたしはホッと胸を撫で下ろした。


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