欲望チェリ-止まらない心
「……ん……」
ドク…ン
紅の寝言にあたしの体は一瞬で硬直した。
紅のまつ毛が小さく揺れ、紅の指がピクっと動く。
そしてそのまま
紅がゆっくり瞳をあけた。
「ぁ……れ?橘…?」
あたしを見て紅は目を細くする。
「紅…だ、大丈夫?」
「ん…」
紅はベッドで上半身を起こすと後頭部をかいた。
「…試合は?」
「あ、うん。えっと…ひー君が優勝したよ」
「…そっか」
紅は寝起きでぼんやりしているみたいだった。
そして紅は、気だるい感じであたしを見て首をかしげた。
「つか…なんで橘は居んの?」
「え…?」
「聖は?聖んとこ行ってやれよ」
「!」
紅の言葉にあたしの胸は苦しくなる。
な…なんで?
なんでそんなにヒドイ事を言ってあたしを突き放すの…?