欲望チェリ-止まらない心
しかし紅は、あたしの口に手を当てた。


「!」


紅に口を塞がれたあたしは、それ以上言えなくて…






「ごめん」


紅はそう言うと、ゆっくりとあたしの口から手を離した。


「それ以上聞きたくない」


「!」


「聖を裏切るわけにいかないんだ」


「!!」





な…んで…?


あたしの目からは次々に涙が溢れた。


「聞いても…くれないの?」


ねぇ、紅…

言わせて…


あたし、やっと自分に素直になれそうだったんだよ…



紅は悲しい目であたしを見た。


「俺は平気だから、もう戻れよ」


「!」


「心配してくれてありがとう」












あたしはそのまま、保健室を飛び出した。



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