欲望チェリ-止まらない心
あたしは廊下に出てひー君に歩み寄る。


ひー君は生徒会の関係か、小脇に資料を抱えていた。


「あ、あのね、ひー君。今日の放課後空いてる?」


「え?今日?今日は部活があるけど…何か用事?」


ひー君は軽く首をかしげる。


「あ、あのね?友達がひー君に勉強を教えて欲しいんだって」


あたしは遠慮がちにひー君を見上げた。


だけど…

部活じゃ無理だよね?


他の日を提案してみようかな。


しかし、ひー君は言った。


「あーそうなんだ。じゃあ部活を早めに切り上げるね」


「え??いいの?」


予想外の返答にあたしは目を丸くする。


「うん?」


ひー君はまた首をかしげる。


「だって…部活大丈夫?」


あたしの言葉にひー君は小さく微笑む。


「うん。だって三咲の友達でしょ?いいよ」


「!!!///」


あたしの体が一気に熱くなった。


ひ…ひー君…!!


その言葉、録音したかったよ!


「場所は図書室でいい?」


「へ?あ///う、うん!」


テンパるあたしに、ひー君は
クスッと笑みをこぼす。


「じゃあ、部活が終わったら行くね」


「う…うん!ありがとうひー君!!!」


ひー君はあたしの頭を一度撫でると、また廊下を歩いて行った。



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