欲望チェリ-止まらない心
そう言えば…


ひー君のクラスはプラネタリウムをやるとか言ってたっけ。


真っ暗にした視聴覚室で小型の映写機を使って、結構本格的にやるらしい。



「次、これ見に行ってもいいかな?」


「うん、もちろんだよ♪プラネタリウムとか凄いよね」


「うん。映写機はひー君の私物使うらしいよ」


「へ~凄い!」


そしてあたし達は視聴覚室へ向かった。







ガラガラ…


視聴覚室に入ると、ひー君たちが次の上映の準備をしていた。


次の上映は15分後。


客入りは今のところ半分程度。


クラスメイトと打ち合わせをしているひー君の横顔は真剣でキラキラしてる。


邪魔しちゃ悪いよね。


あたし達は空いているパイプ椅子の客席に座った。


「藤ヶ崎先輩、かっこいいね」


優子ちゃんがこっそり耳元で囁いてくる。


「…そうだね」


あたしはひー君を見つめた。


ひー君は機材を確認しながら、時折目を細めたりしている。


爽やかで人を惹き付けるオーラ。


さらさらの黒髪に、とびきり優しくて素敵な笑顔。


ひー君は、本当にかっこよくて完璧だから。


本当はあたしなんかが、こんな中途半端な気持ちで縛ってちゃいけない。


わかってる……


わかってるんだ。


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