欲望チェリ-止まらない心
「ひっく…どぉしよ…」



なのに、あたしは

そんな優しさに甘えて


ひー君の本心を見て見ぬ振りをした。





紅への気持ちも抱えたままで…







「うぅ…ひっ…あたし…もう分かんないよぉ」



突然泣き出すあたしに、教室のクラスメイトは驚いてる。


「み、三咲ちゃん…」


優子ちゃんと亜季ちゃんはその視線からあたしを守るように壁になってくれた。



「あたし…うぅ…ひー君を凄く傷付けた…」


「…うん」


「ひー君を見てあげたいのに…でも…紅への気持ちも消えてくれな…くて」


「…うん」






ねぇ、


どうして人は、好きな人を自分の意思で選べないんだろうね。



あたし、紅よりもひー君の方がずっと長い時間、一緒に過ごしてきたんだよ。



あたし紅のことなんてほとんどなにも知らないのに。



紅と過ごした時間なんてほんの一瞬なのに…




< 360 / 488 >

この作品をシェア

pagetop