欲望チェリ-止まらない心
「ごめん…!あたしちょっと、体育館裏も見てきていいかな?」
バンドの爆音と喝采が響き渡る中
あたしは優子ちゃん達の耳元で叫んだ。
「うん!もちろん!」
「きっと大丈夫だよ!頑張って!」
理由を言わなくても、あたしの行動は二人にはお見通しみたい。
笑顔であたしの背中を押してくれる優子ちゃんと亜季ちゃんに
あたしは精一杯の感謝を返して
そして、あたしはその場を後にした。
体育館の舞台裏は、出番待ちのバンドや機材でごった返していた。
床には複数のコード。
せまく薄暗い舞台裏を慌ただしく行き交うスタッフの生徒。
あたしはなるべく邪魔にならないように、その間をすり抜けていく。
キョロキョロ
紅…どこかな?