欲望チェリ-止まらない心
舞台裏を探し回り


あたしはようやく赤い髪を見つけた。



!!

やっぱりいた!



もしかしたら、と思ったんだ。


紅はこういう裏方とか雑用を、進んでやる人だから。



紅は舞台袖の暗幕に隠れて、ストップウォッチ片手に進行状況をチェックしていた。


制服の上だけTシャツに着替えていて


トランシーバーで誰かとやり取りしてる紅。


その真剣な横顔に、一瞬で心が奪われる。


紅……


話しかけるのには相当な勇気がいった。


だってあたし、紅には避けられてるから。


嫌われてるから…。










しばらくして


話し掛けられず立ち尽くしているあたしに


ふと紅の方が気が付いた。



ドキ…ン



舞台裏に棒みたいに突っ立ってるあたし。


そんなあたしを見て、紅は一瞬だけ目を見開いた。


なんでお前が?!みたいな顔。



そんな露骨に嫌な顔…

ショックだよ…




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