欲望チェリ-止まらない心
「なんで…だよ」



「…は?」



「なんでいつもお前なんだよ!」




ひー君は荒い声を出すと、いきなり紅に掴みかかった。



「!!」


カシャ―ンッ!


ストップウォッチとトランシーバーが床に落ちた。


勢い余った二人は、舞台袖から舞台上に倒れこみ


ひー君はそのまま紅の上に馬乗りになった。





キャ―――!!




突然舞台に乱入した二人に、体育館が混乱する。



いつも穏やかなひー君の豹変に


あたしは目を見開いたまま固まってしまっていた。







「不愉快なんだよ!」



ひー君は紅に馬乗りのまま、その胸ぐらを掴み上げた。


舞台上で演奏していたバンドは止まり


観客の生徒たちも騒然としている。




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