欲望チェリ-止まらない心
―――――――…
―――…




綺麗なリビングで


おばさんと雑談を交わしながらケーキを戴いたあと


あたしは二階のひー君の部屋へ向かった。






おばさんの話では


昨夜、帰宅した時ひー君に変わったところはなかったらしい。


あんな騒ぎの後に、いつもと変わらない顔で帰宅できるなんて。


昔から、ご両親の前では完璧だったひー君。


そう言えば、前にあたしの家で話してくれたよね。


そんな自分に、環境に…、
ずっと息が詰まりそうだったって。


だから、あたしを好きになってくれたって…









大きな暖炉まである広いリビング。



ひー君と同じように、一見するとそれは完璧な空間で…。


ひー君は昨夜、どんな気持ちでここにいたのかな。


誰にも本心を言えず、熱が出ちゃうまで抱え込んで。


吹き抜けの階段を上がりながらひー君を想うとたまらなくなる。




ひー君…ごめんね






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