欲望チェリ-止まらない心
わゎ…っ///


萌菜ちゃんの顔が間近になり、気まずくないようにあたしは視線を横にズラした。



「うん!完璧」


萌菜ちゃんが離れる。


唇に初めての感触。


ちょっと舐めると、ぬるぬるして苦かった。


「リップクリームと全然違うね」


「当たり前じゃん!ちなみに、それ新作のグロスだよ」


へ~、これがグロス…


萌菜ちゃんに向けられた手鏡を見る。


鏡の中に映るあたしは、ノーメイクなのに唇だけがやけにテカテカと赤かった。


「…これちょっと赤すぎない?」


「グロスはたっぷり塗るとセクシー&可愛くになるからオススメの塗り方だよ~またメイクしてあげるよ♪」


「そう……あ、ありがと…」


あたしはもう一度鏡を見た。


う…う―ん…


これがセクシー?


萌菜ちゃんみたいに、全然可愛く見えない。


だけど


笑顔で大丈夫!と言ってくれる萌菜ちゃんに失礼な気がして


やっぱり拭き取りたい、とは申し訳なくて言えなくて。


あたしは結局そのままで我慢することにした。





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