欲望チェリ-止まらない心
幻滅なんてする訳ないよ。


むしろ……





「あたし、嬉しかったよ」


「…え?」


「ひー君はずっと完璧だって思ってたから…」


「…………」


あたしの言葉にひー君はゆっくりとこちらに体を向けた。


ドキ…ン


ひー君の黒く澄んだ瞳と目が合う。


「俺は、完璧なんかじゃないよ」


まっすぐにあたしを見つめるひー君は寂しそうに笑う。


「三咲に好かれたくて、完璧でいようとしただけ」


「!」


「それでも…俺は選ばれなかったけどね」


「…………」


「ほんと、悔しいな…」









初めて聞くひー君の本音に、あたしは涙が出そうになる。




「もういいよ。三咲の好きにして」


「え…?」


「こんな俺、もう見ないでよ」


「っ…」


ひー君はそこまで言うと、またあたしに背中を向けようとした。





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