欲望チェリ-止まらない心
「なにあれ、全然フツーじゃん」


「あんな子に振り回されて藤ヶ崎クンにも、ちょっとガッカリだよね」






――――え?



登校中、いきなり下駄箱で投げつけられた言葉。


ドキッとしてそちらを見ると、知らない女の子と目が合った。


その子はすぐにバツの悪そうな顔をして目を反らした。


「…………」


あたしのことは、色々な形で噂になってる。


目立つ二人に、平凡なあたし。


ひー君や紅のファンにとっては当然面白くない訳だから。



その人達の間では、あたしが二股をかけたことになっていた。


二股かけて友情をめちゃくちゃにした挙げ句、ひー君は手離さない。


自分でも思う。

本当にその通りだと。



あたし、最低な女だね。




だけどこれが、あたしの選択。


あたしに傷付く資格なんてない。






だけど……




悔やみきれないのは、ひー君や紅のことまで悪い噂が立ってしまったこと。





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