欲望チェリ-止まらない心
「ってかごめん…吐きそう…」


突然、隣の優花先輩が口を抑えた。



―――え?



「三咲ちゃん…たずげで…」


「え?えぇ?!優花先輩!?」


おろおろするあたしに、しがみつく優花先輩。


優花先輩は今にも吐きそうで、だけどあたしはどうして良いか分からなかった。


だって酔っぱらいなんて初めてで…


お父さんすらこんな酔ったとこは見たことない。


ど…どうしたらいいの!!?









「ったく…」


紅は呆れた声を出すと、あたしと優花先輩の間に割って入った。


「まだ吐くなよ」



そのまま

あたしにしがみつく優花先輩をはがす紅。


「橘。あとで水持ってきて」


「!」


ドキ…ン…


間近にある紅の顔に言葉が出なくなる。


あたしは言葉の代わりに、ウンウンと頷いた。



紅はそのまま優花先輩の脇に肩を入れるとトイレに連れて行った。




その背中を見つめながら…



あたしはどうしようもなく胸が切なくなった。



だって紅が近付いた時――…


香ったのは、あのダウニーの香りではなかったから。







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