欲望チェリ-止まらない心
「っはぁ……」
息が切れて、あたしはゆっくりと唇を離した。
結局
ひー君は最後まで、キスに答えてくれなかった。
下手くそで一方的なキス
もしかして嫌だった…?
不安な気持ちが込み上げてきてあたしはひー君を見た。
―――ドキ ン
暗闇の中で視線が重なり合う。
ひー君のその顔は、今までみたことがないぐらい…
欲情を含んだ、男の顔になっていた。
「…いいの?」
「え?」
「本当にして、いいの?」
ひー君はそう言うと、戸惑うように目を伏せた。
あたし達は恋人なのに。
それをあたしに聞く、ひー君のその心境は
どんなに切ないものだったのかな――…
「は、はい……」
覚悟をきめるんだ。
ひー君の為に、あたしができること。
それがあるなら、あたし何でもしてあげたい。