欲望チェリ-止まらない心
「じゃあ、そろそろ行こうか?」


「!」


ひー君の声がギリギリのあたしを救う。


「藤ヶ崎くん、三咲ちゃん、またね」


「は、はい…よいお年を」


そして、あたし達は違う方向へ歩き出した。











イルミネーションの街をひー君と手を繋いで歩く。


「び…びっくりだね?すっごい偶然」


さっきまであんなにロマンチックだった景色。


だけど街の色は、もう失われていて。


「あ…あの二人、お似合いだったね!」




いつから付き合ってるの?

もしかして、あの打ち上げの後に…?





「優花先輩、可愛かったね…!」


痛い。

心が痛いよ…


醜い気持ちで、押し潰されそうだよ…












そんなあたしに。





「そうかな?」


「……え?」


「三咲の方が可愛いよ」



ひー君はあたしの手を握ったまま、優しい目であたしを見ていた。


「寒いね?もう送っていくよ」


「………っ」



あたたかい、ひー君の手。


ひー君はそれ以上なにも言わずあたしを送ってくれた。





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