欲望チェリ-止まらない心
登校中


公園の隅の梅の木に、小さな赤い花が咲いていた。


青空に映える鮮やかな赤。


きれい…

あたしは思わず目が釘付けになった。








「紅梅だね」


「…え?」


「すごく綺麗だよね」


ひー君はにっこり微笑むと、思い出したように続けた。


「そういや、梅で思い出した」


「え?なにを?」


「もうすぐ紅の誕生日だった」


「……え?」


ドキッとするあたし。


だけど、ひー君の様子は至って自然だった。


「あいつの祖母が日本の梅の美しさに感動したらしくてさ」


「う…ん?」


あ…

そう言えば紅、クォーターだって言ってたっけ。


お婆さんが外国の方なんだ。


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