欲望チェリ-止まらない心
「お前…ほんと不器用すぎ」


泣き崩れるあたしの頭に、紅が優しく触れる。


「お前これでいいの?」


「…だって…あ…たし…紅のこと…が…」


紅のことが…好きな…のに…






そんなあたしに…



―ギュッ


紅は怒ったように怖い顔をしてあたしの頬をつまんだ。


「っ…!」


「まだわかんね~のかよ!自分の気持ちが。俺のことよく見てみろよ!」


「…っ…う…」


あたしは泣きながら顔を上げた。


目の前には…あんなに逢いたかった紅がいる。


その紅がこんなに近くであたしを見つめ返してくれている。







はずなのに――…





どうして……?



あんなに忘れられなかった紅が目の前にいるのに…


ひー君がいなくなったショックが大きすぎて…



喜びや、ときめきが…








< 467 / 488 >

この作品をシェア

pagetop