欲望チェリ-止まらない心
書店で本を選んでいるとDVDの棚が目に入り、俺の目は思わずそこに釘付けになってしまった。


棚に並んだDVD。


それは、あのX'masの日に三咲が選んだものだった。


俺はパッと目をそらすと、何も買わずに書店を後にした。


そこから逃げるように足早に歩く。






……苦しい




こうやって記憶が戻ってくる時が一番辛い。


俺は無理やり思考を遮断するように、空を見上げた。


この空の向こうある広い広い、宇宙…


それを想像するとなぜだか心が癒された。


ずっと小さい頃から…

俺はそうやって自分を保ってきた。







だけど、困ったことに最近はそれも通じなくなった。


今、自分が離れた土地にいるからこそ余計に…


空を見上げると想像してしまうんだ。





この空を辿っていけば、三咲と同じ空に辿り着くって。








三咲は今頃、なにをしている?


隣には紅がいるのか?


二人はもう…気持ちを分かち合ったのか?



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