欲望チェリ-止まらない心
「ひー君…ごめんね…」


「………」


「もう…手遅れだったよね…ごめん…なさい…」


「…………」



三咲は震えて泣き出した。


俺はそんな三咲をぼんやり見つめる。





いつまでたっても紅は現れない。


紅は…一緒じゃないのか?













よく見ると、三咲は地図の他になにかスケッチブックも抱きしめていた。


「…………」


俺はおもむろにそれを取って、中を開いてみる。


そこには沢山の人と筆談した跡があった。




“Where is the subway?”

“Which track can I catch the train for xx Station?”

“Where is the xx student dormitory?”

“Where is HUJIGASAKI HIJIRI now?”





三咲は英語が得意ではなかった。


紅がいれば筆談なんてする必要もないはず。


だけど…そのスケッチブックには数え切れない程の筆談の跡。



どれだけ迷ってここまできたのか

ボロボロになったスケッチブックがそれを物語っていた。





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