欲望チェリ-止まらない心






「まさか…本当に…一人で来たの?」


「………」




俺の問いに、三咲は震えながら頷いた。


そんな…


海外旅行にも行ったことのない、パスポートも持っていなかった三咲が…






「な…にやってるんだよ」


「……え?」


「あ…危ないだろ!」


「………」


ポカンとする三咲に、俺はもどかしさをぶつけた。


「俺は…三咲がそんなに馬鹿だとは思わなかった」


「…だ…だって…」


「だってじゃない…!ここの治安はそんなに悪くないとはいえ…日本とは全然違うんだよ?」


「っ………」


「本当に…なに考えてるんだよ!」



世間知らずな三咲の無謀すぎる行動に、俺は初めて三咲を怒った。







三咲のことが大切だから…


俺なんかの為に、もしも三咲に何かあったら…






< 482 / 488 >

この作品をシェア

pagetop