欲望チェリ-止まらない心
その時、


ガチャリと家の玄関が開き、中からお母さんが姿を現した。


向かい合うあたしとひー君は、玄関からの光に照らされる。


「あら!ひー君じゃない!」


お母さんはひー君を見ると声を上げた。


「こんばんは」


ひー君はぺこりと頭を下げる。


「わざわざ三咲を送ってくれたの?ごめんなさいねぇ」


「いえ。僕がそうしたかったので」


はにかむひー君にお母さんは、まぁ…と頬に手を当てた。


「あ、そうだわ。うち今からお夕飯なんだけど。良かったらひー君もどう?」


「え、」


「遠慮しないでいいのよ?ひー君の家にはいつもお世話になってるし、親御さんには私から言っておくから」


「あ…でも」


ひー君は少し困った目で私を見る。


そんなひー君にあたしは笑った。


「そうしなよ、ひーくん!そっちの方があたしも嬉しいし…」


「…そう?」


「うん!」


まだひー君と離れたくなかったあたしは大きく頷く。


あ…でも…


「も、もちろんひー君に用事がなければ…だけど!」


慌てて付け加えるあたしにひー君ははにかんだ。


「じゃあお言葉に甘えて……」









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