欲望チェリ-止まらない心
「橘さん、簡単に紹介していくね」


え…?


ひー君に橘さんと呼ばれてあたしはひー君を見る。


ひー君は、ん?って顔を返す。


あ、そうか。


生徒会の中では、ひー君はあたしを橘さんと呼ぶのか。


そうだよね、公私混同しちゃダメだよね。


ってことは、あたしもひー君を藤ヶ崎先輩って呼ぶべきか。


「まず彼が会計の灘 瑛太(なだ えいた)」


ひー君は眼鏡のインテリ青年から紹介していく。


「2年の灘です。よろしく」


灘くんは座ったまま会釈した。


「で、彼女が書記の安達 優花(あだち ゆうか)さん」


「は…はじめまして」


「ふふ、女の子仲間嬉しいな。優花先輩って呼んでね」


あたしのお辞儀を笑った優花先輩は、やわらかな笑顔でそう言ってくれた。


「そして最後に、彼が副会長の矢嶌 紅(やじま こう)」


ひー君の言葉にドキッとする。


あたしは恐る恐る矢嶌紅の顔を見た。


やっぱり…間違いない。


彼はあのバイトの日に出逢った赤毛の男の子だった。



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