欲望チェリ-止まらない心
「は…はじめま…して」


思わず挙動不審な声がでる。


あたしの白々しい挨拶に、矢嶌紅は頬杖をついたままボソッと答える。


「…白々しい女だな」


「……!!」


「え…?」


「ゃやや!なっなんでもないよ?紹介ありがとう!」


ひー君に慌てて弁護するあたしを矢嶌紅は冷めた目で見ている。


「~~~~ッ」


またあの汚い物を見るような冷たい目。


矢嶌紅はあたしがいかがわしいバイトをしてると、まだ思い込んでいるんだ。


あれは間違いなのに…







「それじゃあ橘さんも席について」


「は、はいっ!」


ひー君とあたしも長机に座る。


緊張でテンパるあたしは意味もなく筆記用具を机に出した。


「まずこの前の学生アンケートの結果だけど…」


ひー君の声で生徒会の仕事が始まる。


「紅、もうまとめてある?」


「ん」


ひー君は矢嶌紅から資料を受け取り目を通した。


「ん、いいね。じゃあ、これを明日の全校集会で話すよ」


へぇ…ひー君の原稿って矢嶌紅が書いてるんだ。


それからしばらく続いた会議。


あたしはただただその様子を眺めていた。



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