欲望チェリ-止まらない心
「……………」
ひー君は小さく震えるあたしの頭に手をやると
ゆっくりと子どもをあやすように撫で始めた。
「…なんでそんな風に思うの?」
ひー君の優しい声が生徒会室に静かに響く。
「だって…だってあたし、何も役に立ててない…」
「……………」
「今だって…あたしひー君を手伝わなかったッ…!」
溢れる気持ちが制御できず、つい言葉が大きくなる。
何も出来なかった。
何もしなかった。
なにより、矢嶌紅に言われるまでなにも気付けもしなかった自分が恥ずかしい。
悔しい………
ひー君の彼女なのに、なんであたしはこんなにも出来ないんだろう。
ひー君はそんなあたしの頭を優しく撫で続ける。
「三咲は役に立ってるよ」
「ッ…うそ!そんなのどこが」
「三咲がいるだけで俺のやる気が出る」
興奮するあたしが聞き取れるように
ひー君はいつもより少し強い口調でそう言った。
「……!!」
ひー君の言葉にあたしは顔を上げる。
ひー君は優しく微笑むと、あたしの頬を包みながら親指で涙をすくった。