欲望チェリ-止まらない心
「矢嶌紅って…どんな人?」
夕暮れの帰り道、あたしは少し思い切ってひー君に聞いてみた。
改札を抜け、定期券を胸ポケットにしまいながらひー君はあたしを見る。
「え?紅?」
「う、うん」
帰宅ラッシュでざわめく駅の階段をあたしとひー君はゆっくり登る。
「紅は良い奴だよ。入学した時から俺と成績を争ってて」
「へぇ?すごい」
主席で入学したひー君と同学力なんて、あの人相当頭いいんだ。
「それにあの見た目でしょ?すごくモテる」
「え~本当に?」
あたしには怖い印象しかない。
確かに綺麗な顔だけど、あんな冷たい人がモテるなんて…