欲望チェリ-止まらない心
苦痛の始まり
―――翌朝



部屋の鏡の前でリボンを結び、あたしは気を引き締めていた。


「よし…」


だいじょうぶ。


きっと今日も、萌菜ちゃんたちと仲良く過ごせる。


生徒会も頑張れば、きっと矢嶌紅にも認めてもらえる。



「……大丈夫」


何度もそう呟いて


鏡の中の顔を無理やり笑わせてからあたしは家を出た。


「…傘持っていこうかな?」


空は今日もどんよりと重い。


剣道部主将のひー君は、早練でいない。


だからあたしはいつも一人で登校している。



ひとりでの登校中


高校に近づくにつれ重くなる足取り。


はぁ~~

嫌だな、こんな自分。



ひー君を追って入ったこの高校はレベルが高くて


地元で仲の良かった子はみんな別の高校にいってしまった。


だから入学当初


萌菜ちゃんが仲良くしてくれた時にはすごく嬉しくて……


なのに、なんでかな?


最近はなんだか息がつまりそうになる。


どうしてこうなったんだろう。


校門をくぐりながらそんなことを考えてしまう自分がいる。




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