【完】俺様教師に愛されて。
「か、返さなきゃっ」
返しに行かなきゃっ!と思い、私は来た道を引き返そうと身をひるがえす。
だけど……
「……塩川?」
「え……っ」
目の前には、倉本先生の姿。
「倉本先生さようなら」
「は?ちょ、ちょちょっと待った!!」
さっさと行こうと早足で先生の横を通り過ぎようとしたら、先生は待った!と私の手を掴んだ。
「……何ですか?」
「いや、塩川はこんな時間に何してるのかなーって」
「先生には関係ないことです」
「んじゃ質問変えるわ。今から何しに行くんだ?下駄箱は反対方向だろ??」
真っ黒な瞳を細めて、先生は私を見つめる。
質問に答えないと、絶対にこの手は離さないと言う風に。