【完】俺様教師に愛されて。
「………はい?」
「だーかーらー、そのノート俺が返しといてやるよ」
ニコニコニコ。
女の子悩殺スマイルのまま、先生は私の手を握ってない方の手を差し出す。
「結構です」
「いいからいいから」
「借りた物は自分で返しますから結構ですと言っているんです。だから手を離して下さい」
そう言うも、先生は一向に私の手を解放してくれる様子はない。
「先生、いい加減に……」
「行くなよ」
「……え?」
「どこにも、行くな」
そこに先程までの笑顔はなく、先生は凄く真剣な表情で私を見つめた。
廊下にさしていた夕日の光が、ぶ厚い雲によって遮られる。
辺りが、急に暗くなる。
空気がかわる。
先生のまとう空気が、かわった。