【完】俺様教師に愛されて。



「あの料理オンチの美加が、こんな美味しそうなマドレーヌを作れるなんて……」

「一番びっくりしてるのは私なんだけどね」


そうだ。

一番びっくりしているのは、凄く美味しそうなマドレーヌを作り上げたこの私だ。


「一つもらってもいい?」

「もちろんだよ!」


私がそう言うと、「じゃあいただきます」と言って、恭ちゃんは美味しそうなマドレーヌを一つ私の手の中から取る。

でもそれと同時にキーンコーンと予鈴が鳴り、あ〜んと口を開けていた恭ちゃんの手が止まる。


「えぇー、今食べたいのにぃー」

「放課後にでも食べれば恭ちゃん?ほら、次から全部移動の授業だし」

「うん、じゃあそうする」


そう言って恭ちゃんは、私のマドレーヌを自分の鞄の中へと入れた……。



< 61 / 343 >

この作品をシェア

pagetop