黒猫は野良猫★
限られた時間
僕はあの後、黒猫の倉庫を出た。
僕の中で堅く揺るぐことのない想いが、崩れてしまいそうだったから…
「‥アイツ等のこと、どうしますか」
「…子猫?」
「はい。たぶん、アイツ等が帰る家なんて、ないですよ‥」
黒猫に集まる子猫達は、基本的に親がいない子や施設にいた子。
「…探してあげなきゃ」
「りー、俺思ったんですが‥」
或は空を見上げて呟いた。
「浬音がよく行くと言っていた和菓子屋さんに、蜜夜(ミツヤ)と蜜季(ツミキ)を雇ってもらったら‥どうでしょうか」
「蜜夜と蜜季を?」
「はい」
蜜夜と蜜季とは、二歳差の兄弟。
蜜夜が兄で、蜜季が弟。
2人とも器用で、和菓子好き。
「‥いいかも」
「頼んでみませんか?」
「うん。僕、行ってみるよ」