それでも君を。



「あっ莉乃おはよ」




そう言って駆け寄ってくるのは

もちろんみなみ。




「もう、昨日いきなり休むから心配したんだよ?」



「ごめんね、もう大丈夫だから」




それだけ言うと私は

なにも聞かれたくなかったから

そそくさと席についた。




一段落したところで

私の視界に入ってくるのは

窓側の前から2番目の席。




「おー晃!」




そう、あいつの席。




晃と、晃と仲のよい竜也くんの

他愛のない会話が聞こえる。




私は彼らに釘付けになる。




晃が笑うたび、

目尻にくしゃっと

シワができるその表情が、




機嫌がよいときに

頭の後ろで手を組む仕草が、




私の胸を締め付ける。





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