あの頃の想い
すれ違う時にまた睨まれる。

「絶対渡しませんから。」

小声で私にそう言うと北神さんは走っていった。
私は北神さんの背中を見送ると、準備室の扉を閉めた。
ゆっくりと先生に近づいていく。

「それで、なにがわからないの??見たところ勉強道具なんて持ってないみたいだけど。」

先生はニヤニヤしながら私を見ていた。
私の顔が赤くなる。
先生は近くにある椅子を自分の近くによせると、私に座るように促した。
私がおとなしく椅子に座ると、先生はふぅっと息を吐いた。

「それで…今日はどうしたの??」

先生は優しく尋ねてくる。

「聞きたいことがあって…」

「なに??」

先生は私の顔を見つめた。
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