向日葵の手紙

本当の気持ち


***



カナカナカナ…


何の虫の鳴き声だかしらないけど、蝉じゃないことだけは確かだと思う。




ガラッ


病室のドアが開いた。



「日向!お花持ってきたのよ」


ユリを持ってにっこりと笑ってる母さんがいた。





…何で俺、今期待したんだろう。




俺が入院してることを葵が知るはずないのに。


「…ありがとう、母さん」




俺が病気だと知ったら、葵はどう思うだろうか。




――…俺が二十歳までしか生きられないと知ったら。



葵は…俺から離れて行かないだろうか。




――俺が消えることに怯えて。
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