向日葵の手紙


翌日。


あたしは早く起きた。

…違う。

ずっと起きてたんだ。

眠れなかっただけだ。



腫れたまぶたに冷たいペットボトルをあてながら、今日の休み明けテストの準備をした。

そして、お母さんに気づかれないうちに家をでた。






学校には朝練をしている1・2年がたくさんいた。

にぎやかな校庭の前を通り過ぎ、3年2組の教室に入る。

番号順に移動された席。

あたしは真ん中の列の1番後ろにかばんを置いた。


ちらりと日向の席を見る。


"天沢日向"


「…日向、勉強頑張れたかな」

思わずつぶやき、はっとする。

日向の事を考えたら泣いてしまうから。

あたしは最近日向に泣かされてばかり。

日向ばっかりだ。



「優しすぎんだよバカヤロー!」



ガシャーンッ



思いっきり日向の椅子を蹴っ飛ばした。

日向の椅子はすごい音を立てて倒れた。


『優しすぎんだよバカヤロー!』

これが日向への文句なのか。

「…あはっ」

笑えて仕方がない。

やっぱ日向は憎めない。


やっぱあたしは日向が好き。
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