向日葵の手紙


みんな、笑った。

…笑えた。




「あ、葵ー!!」

――名前を呼ばれる。

別に、振り向かなくても誰だか分かってしまった。

でも確かめずにはいられない。

ゆっくりと振り向いた。


「ひな…た」

「おはよ!」

――嬉しいけど嬉しくない。

ああ、そうか。

気まずいのはあたしだけなんだ。


日向は何も知らないのだから。



「…………はよ」


それだけ言って目を逸らした。
< 158 / 174 >

この作品をシェア

pagetop