向日葵の手紙
胸が苦しくなる。
「えーそれではテストを開始する。解答用紙を配られたらしっかり記名すること」
テストをするから席を出席番号順に並び替える。
俺の名字は天沢で番号が早いから、前から二番目だった。
前の人から回ってきた解答用紙を、後ろに回そうと振り向いた時。
――息を、飲んだ。
視界に入る、後ろから二番目の席。
葵が泣いていた。
頬をつたう涙が光っていた。
「……」
何で泣いてるんだよ。
また、葵と目があう。
葵は涙を拭って、目を伏せてしまった。
俺も前を向く。
たった数秒間が、めちゃくちゃ長く感じた。
葵の涙が脳裏に焼き付いて離れない。
――何で。――
この一言しか出てこない。
何で。