向日葵の手紙


胸が苦しくなる。







「えーそれではテストを開始する。解答用紙を配られたらしっかり記名すること」

テストをするから席を出席番号順に並び替える。

俺の名字は天沢で番号が早いから、前から二番目だった。


前の人から回ってきた解答用紙を、後ろに回そうと振り向いた時。



――息を、飲んだ。



視界に入る、後ろから二番目の席。


葵が泣いていた。

頬をつたう涙が光っていた。


「……」

何で泣いてるんだよ。


また、葵と目があう。

葵は涙を拭って、目を伏せてしまった。

俺も前を向く。



たった数秒間が、めちゃくちゃ長く感じた。

葵の涙が脳裏に焼き付いて離れない。


――何で。――


この一言しか出てこない。


何で。
< 161 / 174 >

この作品をシェア

pagetop