向日葵の手紙
でも、優を忘れてしまいそうで怖くなる。
もやもやする。
「あ!クーにえさあげなきゃ!」
日向はいきなり立って、リビングを出て行った。
日向ママと二人になったリビングには、テレビの馬鹿けた笑い声だけが響いている。
「葵ちゃん、今日何か予定ある?時間大丈夫?」
日向ママが口を開いた。
「え?あ―…今日は夜塾があるだけで、あとは大丈夫です」
…今、あたし嘘つこうとした。
用事があるからって帰ろうとした。
でも何か、嘘ついてまで帰る必要ないかなって思った。
「じゃあ日向に勉強教えてあげてくれないかな?」
申し訳なさそうに言うおばさん。
「いいですよ」
ニコッと笑ってみせると、おばさんは安心したような、でもどこか寂しそうな笑顔になった。
「実は、あの子ね」