あの空模様 ②
秋
いつもと変わらない
この道
軒並み続く家
散りおえた木々
その間にある
坂に消える一本道
少し重い鞄を抱えて
ゆるい坂を
のぼりはじめた
勇気のない私―
あの日から
ただ想い続けてる
・・・それだけ
進むことも退くこともなく
ただ 立ち止まっている
それなら
忘れてしまえばいい
間違いだったと
あの日感じた
全身を支配する鼓動も
暑さのせいにして
他の誰も目に入らず
いつの間にかあの人だけ
目で追っていたのも
夏のせいにして
無かったことにすればいい
そしたら
また
彼と普通に話をして
前と同じ友達に戻れる
簡単なこと
前と同じ友達に
戻れるのに・・・
坂の途中
歩くのを忘れて
立ち止まっていた
涼しい風にさそわれて
ふっと顔をあげると
そこには
一枚の絵
昼の青空と夜の闇空が
交差して
紅い夕日が
総てを包み込んでいる
周りの家の外壁が
まるでレンガのように
優しく変わり
枯れた木々が
暖かい歌を奏でだす
まるで一枚の絵のように
私は
この自然から
目をそらせなかった
この美しさは
今の私だけが出会えたもの
私は
彼を好きになった
忘れることはできない
間違いだったと
不安定な箱に
隠すくらいなら
失恋してでも
好きでいたい
この気持ちは
今の私だけが出会えたもの
彼を好きになったから
知ったこと
あの紅い夕日に消える頃
きっと 勇気が満ちてる
また頑張れる
いつもと違う
この道
前を向いて進みはじめた