I LOVE YOUが聴きたくて
綾は、自分の耳を疑った。
そして、言葉を失った。

びっくりしすぎて、絶句した。


「返事を聞かせてよ。いつでもいいよとか、考えてみてとか言うのもあるかもしれないけど、俺、待つの嫌なんだよね。それにさ、今日は卒業式だろう?良いも悪いも、きっぱり出して、卒業式を終えたいな。そして、新しい明日を迎えたいんだ。だから、返事を聞かせてほしい」

修は、真剣な眼差しだった。

そんな修を見て、綾も真剣な態度をとった。

「はい。わかりました」

綾は、自分を落ち着かせて、修に返事をした。

修は、静かに落ち着いて、冷静な姿勢で、綾の返事を待っている。


「ちょっと待って!五分、いや、一分でいい」

「いいよ。待つよ」

「ありがとう」


綾は、修に背を向ける様に、後ろを向いた。

そして、深い深い、深呼吸をした。


【私は彼氏がいないから、それは、考えなくていい。……。笠原くんが、私のことを…そんなふうに見ていたなんて、思っていたなんて………知らなかったなぁ。私が、『はい』と言ったら、笠原くんは私の彼氏になる……考えたこと、なかったな………】


綾は、答えを出した。

そして、ゆっくりと、修の方へ振り向いた。

修は、いつになく緊張していた。
緊張しながらも、自分を落ち着かせていた。そして、綾の返事を待つ。


「返事を言います」


綾は、清んだ眼差しで、修を見つめた。

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