I LOVE YOUが聴きたくて
修は、息を飲んだ。


「はい。宜しくお願いします」


綾は、返事を言うと、修に、丁寧にお辞儀をした。

「ホントに?」

「はい」

綾は、満面の笑顔で言った。


「やったーー!」

修は、大きくガッツポーズをすると、

「きゃっ」

綾を、思いっきり抱きしめて、そして、抱きあげた。

「おろしてよ~、笠原くん。恥ずかしいから~」

綾は、苦い顔をする。

「あーー!どこに行ったかと思ったらぁ~、何でぇ~?」

泉が、綾と見つけて駆け寄る。

綾を抱きあげる修を見て、状況が飲み込めずに、泉は目を丸くする。

「相沢さん、俺も、今日から友達ね。宜しく!」

「えー!?」

修に話かけられたのが初めてだったので、更に、泉は、驚いていた。

「えー!どういうことー!?」

当然に、修のファンは黙っておらず、ナンダカンダとうるさく集まる。

「こういうことだよ」

修は、集まる女子たちに、爽やかな笑顔で言った。

「あんな笑顔するの~?」

「初めて見たぁ」


「かっこいい~」

女子たちが、口々に言っている。

「でも、何で~?」

問いかけに、修は、答えた。

「俺が前から、早乙女さんのことを好きだったんだよ」

その言葉に、周りの女子が、更に、うるさくなる。

「そんなことを言ったら」

「いいの」

綾の心配に、修は、満面の笑顔で、満足そうに言った。


綾にとって、予想外の、卒業式となったのであった。

~高校の卒業~

【人生って、何が起こるかわからないなぁ~】

綾は、微笑んで、そして、修と顔を見合わせて笑った。
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