I LOVE YOUが聴きたくて
「あ、」

修は、ハッとし、話を続ける。

「その砂美島の海辺での美咲 怜樹さんのインタビューが、テレビであっていました」

「そうなんだ」

魅麗は、荒れていた怜樹の姿を思い出す。

【立ち直ったのかな…】

魅麗は、嬉しい気持ちになった。

「その海辺に、彼のアトリエがあるのよ」

「…え?」

綾は、言っていいの?という顔をしている。

魅麗は、素直な気持ちだった。

「海辺に行ったら、寄ってあげて」

魅麗は、優しく微笑んでいた。

「はい。誰にも内緒で、こそっと行きます。人に教えたらもったいないから」

修が、気のきいたことを言ったので、魅麗は、笑った。

修は、綾を誘った。

「ねぇ行こう。おじいちゃんの家、近くにあるんだ。御囃子とかの練習も見れるかも」

「御囃子?」

綾は、意味がわからずに尋ねる。

「うん。笛や太鼓、三味線などを使って演奏をする、和音楽だよ」
「あぁ」

「まっ、見たらわかるよ」

「おじいちゃんは、演奏家なの?」

「違うよ。大衆演劇さ」

「大衆演劇?」

綾は、またまた意味がわからず、首を傾げた。

「まぁ~素敵」

魅麗は、目を輝かせる。

「魅麗さん、わかるの?」

「うん。わかるよ。広く多くの人たちに親しまれてる演劇よ。御芝居や舞踊が観れるの。観るとね、生の迫力があるわよ。音響や御芝居や舞などに、感動するのよ。泣いちゃうわ」

「わぁ…そうなんだぁ」

魅麗の話し方に、臨場感があって、綾は、とても、わくわくしたのだった。

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