I LOVE YOUが聴きたくて
「おはよう」

先に起きていた怜(ユウ)が、後から起きてきた魅麗に気づいて、声をかけた。

「おはよう。もう起きてたの?」

「うん」

怜(ユウ)は、とても爽やかな清々しい表情をしていた。

目覚めのコーヒーを、魅麗に差し出す。

「ありがとう」

怜(ユウ)の差し出したコーヒーは、アメリカンだった。

【これも遺伝子っていうのかな…】

魅麗は、怜樹が、コーヒーといえばアメリカンだったことを思い出す。

「何時からだったっけ」

魅麗は、コーヒーをすすりながら尋ねた。

「十時からだよ」

怜(ユウ)は、怜樹の描いた宇宙の絵画を、静かに見つめていた。

魅麗は、そんな我が子の姿を見て、そっと、尋ねてみる。


「初めて、会うね」

「…うん」

「大丈夫?」

「ん?」

怜(ユウ)は、振り返る。
「緊張は?ない?」

「うん…」

「ないよね。自分のお父さんに会うんだもんね」

「うん…でも…」

怜(ユウ)の『でも…』を聞いて、魅麗は、黙って、次の言葉を待った。

「なんだか、変な感じだなぁ…」

怜(ユウ)は、そう言って、父の描いた絵を、見つめていた。
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