Ｉ ＬＯＶＥ ＹＯＵが聴きたくて

「よし！できた！」
魅麗は、額の汗を拭いながら、夢だった自分のお店をひとりで作り上げた事に、達成感と感動を噛みしめながら、強く言った。
魅麗は、脚立に登ったまま、満足気に看板を見つめていた。
夕陽で色鮮やかに染まる。
魅麗は、出来た喜びを噛みしめているのだろうと、綾は、思いながら見上げていた。
魅麗は、ゆっくりと脚立を降りてきた。
「魅麗さん、お疲れ様！」
「ありがとう。なんだか、感動したというか、達成感というか、妙に浸ってしまってたわ。作って終わりじゃないのに。これからなのにね」
魅麗は、汗を拭いながら、笑った。
「マッシュルーム。可愛い名前！」
「そう？ありがとう。初めてのお店のオープンだから、気合いが入っちゃってね。お店の名前だしね、わかりやすい名前がいいだろうし、せっかくオープンさせるんだから、長くやっていきたいし、より多くの人に知ってほしいから、色々考えたんだけどね。好きな名前にしたの。色々と考えていても、結局は、この名前がよく浮かんでね」
魅麗は、照れ笑いをした。
「凄く良いと思う。私の友達とかも好きそう。字の感じも響も可愛いし、店の雰囲気も可愛いから、大人気になると思う」
「そっか。綾ちゃんに言われたら、自信持てたよ。よーし！明日はオープンだ！なんだかやる気が出てきたよ！」
魅麗は、目を輝かせた。
「うん！」
見ている綾も、嬉しい気持ちになってきた。
「綾ちゃん、お腹すいたでしょう。シチュー煮込んであるんだ！さぁ食べよう！」
「わぁー！シチュー大好き！」
「良かった。入ろう入ろう」
「はい」
二人は、お店の中へと戻った。
「怜(ユウ)もお腹すいたねー。食べようねー」
そう言いながら、魅麗は、ユウを椅子に座らせて、素早くシチューの用意をした。
可愛いきのこのテーブルに、料理を並べる。
「さぁどうぞ」
「いただきまーす」
部屋中に、笑い声が響く。
オープンは、明日。
新しいお店の新しい食卓で、賑やかな声が、広がっていた。