I LOVE YOUが聴きたくて
「はい、違います。お客様に、座って寛いで頂こうと思いまして、置いたんですよ。ご自由に使って下さい。ごゆっくりして下さいね」
魅麗が、微笑みながら言うと、子どものママは安心して、子ども達に、座って良いことを伝えた。
「わぁい、きのこきのこ~可愛い~」
子ども達は、無邪気にはしゃいで、とても楽しそうにしている。
大人は、ご夫婦の様で、仲良く、ディスプレイを見始めた。

魅麗は、お買い上げ頂いた商品を、割れない様にフェルトで包み、更に、可愛らしい紙で素早く包んで、可愛らしい袋に入れると、若い上品なお客様に、丁寧に手渡した。
「有難うございます。また、お待ちしております」
魅麗は、微笑みながら言うと、お辞儀をした。
若い上品なお客様は、受け取ると、
「わぁ~可愛い~!」
と、とても喜んだ。
その表情を見て、魅麗は、良かったぁと思いながら、目を細めた。
「また来ますね。あっ私、山を越えた隣町に住んでるんですけど、こっちには、ピアノを教えに来てるので、また来ます。ごちそうさまでした!」
若い上品なお客様は、そう言うと、魅麗に笑顔で会釈をし、お店を後にした。
魅麗は、お店の外へ出て、お客様を見送った。
【オープン第1号のお客様が、あんな素敵なお客様だったなんて。若くて、お洒落で上品な方だったなぁ。ピアノの先生だったんだぁ。なるほどね。それで、あんなに上品な風格だったんだなぁ】
魅麗は、微笑みながら感心していた。

魅麗は、もう見えなくなったお客様の方に向かって、もう一度、深くお辞儀をした。

記念すべき第1号の、素敵なお客様を胸に刻み、また来て下さることを願いながら、新たな出会いに心ときめかせながら、魅麗は、お店へと入っていった。
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